経済成長しない社会(山口周)

改めて、先進7ヵ国の経済成長率がここ50年ぐらいどういう推移で来ているのかを、ぜひみなさんに考えていただきたいんですね。 大学の講義や経営者の育成の会でお話をさせていただくと、(「先進7ヶ国の経済成長率がピークを記録したのは、いつでしょう?」という問いに対して)多い答えの1つは、1960年代の高度経済成長、もう1つが1980年代の日本のバブル期、最後が2000年から2010年代のシリコンバレー・GAFAの影響だということです。それぞれ3分の1ずつ(回答が)出るんですが、実際の答えがどうかと言うと、こうなっているんですね。 実は1960年代にGDPの成長率はピークを記録して、そこから1回として過去を上回ることなく、安定的に低下してきています。ですから近い将来、ほとんど(経済が)成長しない社会が来ます。 今、「成長社会か定常社会かどちらがいいか」という議論をしていますが、いいかどうかという選択の問題じゃないんですね。選ぶと選ばざるとに関わらず、定常社会がもうそこまで来ているということです。これはつまり、経済全体が成長しないということは、平均的に見ると個別の企業も成長しない時代が来たということですね。